2017年1月6日金曜日

初カモはマガモ!

狩猟免許と散弾銃の許可を取って最初の猟期であるにもかかわらず、
まともに出猟することができずイライラと不安がつのっていた1月。

わずかな合間を見つけてカモ猟に出た。

昨年秋に引っ越しをしてからというもの、
「居住の市内にはほぼ狩猟可能な区域がない」ことが判明した。

散弾銃で猟をすることができない区域、つまり禁猟区には、
おもに鳥獣保護区、特定猟具禁止区域(銃)があり、
ここでは鉄砲で猟をすることができない。

すなわち鉄砲をつかう鳥猟や、わな猟における「とめ刺し」ができないということだ。

それ以外にも定義のあいまいな「人家稠密の場所」という禁猟場所(エリア)がある。

要は、近くに家がある場所は鉄砲を使う猟はダメだよということ。
最高裁の判例では、「半径200m以内に人家が10軒以上存在する場所」
が禁止場所と判断された。

岡山県南部の野池、河川はまず「人家稠密の場所」に該当してしまう。

というのも人類の発展は河川とともにあったからだ。
エジプト文明とナイル川、メソポタミア文明とチグリス川・ユーフラテス川、
中国文明と黄河・長江の例を見るまでもなく、人間は川のそばに田畑や家をつくり、
川沿いに発展していったのである。

主要な川を遡上していっても、まず川沿いに住宅街や町がある。
どうみても200m以内に人家が10軒以上ある・・・。

やっと家がないところにきたと思ったら、両岸が切り立っていて
川に降りられない場所だったり、早瀬になっていてカモすら泳いでいなかったり、
なのである。

狙うは山里離れた野池しかない。

ところが引っ越してきたばかりなので、どうも土地勘がない。
これでは池を探すだけで猟期が終わってしまう。
なんのために高い税金と諸経費を払っているのかわからない。

そこで以前住んでいた県北某所の野池を回ることにした。
ここはバイクでぐるぐる走り回っていたところだから、土地勘もあるし、
散弾銃の空薬きょうが何個も落ちていた(ダートだけど道に落ちていたぞ・・・)から
カモがついているのはまず間違いない。

午後11時に家を出発し、ついたのは午後になってから。
車から降り、銃の準備をしてそろそろと近づいてみるとカワウが数羽飛び去って行った。
あれ、カモいない・・・とがっかりしていると、

雑木林にかくれるように、水面にカモ発見!

しかし、ぼくの姿を見つけたのか、すぐに飛んでしまった。
ここはダートとはいえ道なので発砲は違法。
撃ちたい気持ちをおさえて、雑木林のほうへ歩みを進める。

ところどころでカモの飛び立つのが見える。
池が見渡せる岸辺に降りると、すぐさまフジスーパーオートに実包3発を装填。

バサバサバサ!

カモが4~5羽飛び立ち、右から左へ飛んでいく。
照星をあわせ引き金を引く。

ボォーン!

飛んでいく群れのうち1羽がもつれ、水面に落ちた。

おぉ!当たった!!!

クレー射撃ではぜんぜん当たらず悔しい思いをしてきただけに、
これはうれしかった。

水面に落ちたカモはオレンジ色の足を水上に出して、もがいている。
オレンジの足・・・もしかしてマガモか!

カモは天地ひっくりかえったままもがいていたが、
首は水面に沈めたままなのでしばらくすると息絶えた。

ブッシュを抜け、ダート道に移動したころには水面は静寂を取り戻していた。

さて、どうやって回収するか・・・

もっとも近い岸からしても20メートルは離れている。
カモキャッチは家に忘れてきた。
ボートを買いに行く余裕もない。

・・・泳ぐか。

さいわいスイミングスクールに通っていたので、水泳は得意なほうだ。
衣服がぬれるといけないので、全裸になった。
足を水面につける。

うわあああああああああ寒い冷たいつめたいつめたい!!

呼吸が異常に荒くなっていく。
一歩また一歩と池に身を沈める。

他人が見れば入水自殺のようである。
へそまで沈んタ瞬間覚悟を決め、顔をつけない平泳ぎでカモを目指した。

マッディな深緑の池を進む。
池の主に飲み込まれそうな恐怖感。
中央に近づくほどに不安がぼくをつつみこむ。

過呼吸気味になりながらも、カモに到達。
オレンジ色の足をつかんだ瞬間、グニュリ・・・

うわああああああ気持ち悪っ!!

鳥の足って硬いもんかとおもってたのに、
結構やわらかい・・。

気色悪さを我慢して、カモをレトリーブ。
帰りは疲れにくい背面泳ぎ。
といっても学校で習う背泳ぎではなくて、ぼく独自の背面泳ぎ。
背面に浮いたまま足はバタ足、手は体側でムチのようにしならせて静かに泳ぐ方法。
左手はカモの足とがっちり握手・・・。

弱点は進行方向の状況がよくわからないこと。
疲れたら動きをやめてプカリと浮けば、つど休める。

獲物の羽を広げると、青い翼鏡が見えた!
執念で回収したカモはマガモのメスであった。

『孤独のジビエ』で東雲氏が書いているように、
マガモはカモの中のカモ、まさにカモの王様なのである。

ぼくの体は冷たい水のせいで表皮がビリビリとして紅潮していた。
くつしたで体をぬぐうとすぐ着衣をまとった。

BACK110ナイフでカモの肛門から切れ込みを入れ、
そのへんに落ちている枝で腸を取り出した。

鳥は腸だけは取っておかないとすぐ傷んでしまうらしいのだ。

出血個所は、肛門のほかには目の一点のみだった。
はからずとも「ヘッドショット」となったようだ。

可食部位への損傷がないのは良いことだ。

とりあえずiPhoneで記念撮影をして撤収した。
ほかにも池を回る予定であったが、また池を泳ぐことになると考えると気が進まなかった。
それよりもはやくカモを調理したかったので、家に帰った。


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