2016年5月15日日曜日

最高裁判例(クロスボウは外れても違法)

クロスボウ(洋弓)は,銃ではないので,いまのところ,
我が国では所持や使用に対して特に制限はされていない。

ただし,狩猟に使うと違法なのである。

理由は,法令に「環境大臣が禁止する猟」として,
「弓矢を使用する方法による捕獲」があげられているから。

今回とりあげる判例は,
平成8年2月8日 最高裁判決
事件番号 平成7(あ)437

猟のために狩猟鳥獣であるカモを
クロスボウで狙って撃ったが,当たらなかった。
だけど検挙されたという刑事事件。

「殺傷しておらず実効支配内に入れてない行為(未遂の形態)が
 ”弓矢を使用する方法による捕獲”にあたるか」
を争った裁判。

本件とは異なるが,1993年(平成5年),
東京都で背中に矢が突き刺さった状態で生きているカモ,
通称「矢ガモ」が発見された。
マスコミで報道され,たいへん話題となっていた。

最高裁は,原審の東京高等裁判所の判決を支持し,上告棄却した。

判決文によると,
【食用とする目的で狩猟鳥獣であるマガモ又はカルガモをねらい
 洋弓銃(クロスボウ)で矢を射かけた行為は、
 矢が外れたため鳥獣を自己の実力支配内に入れられず、
 かつ、殺傷するに至らなくても、
 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律一条の四第三項の委任を受けた
 昭和五三年環境庁告示第四三号三号リが禁止する
 「弓矢を使用する方法による捕獲」に当たる。】
として,
【要約】狩猟するつもりで狩猟鳥獣に弓矢を射かけたら,外れても違法
と判断している。

なお,小野幹雄裁判官の補足意見(私見)として,
・「捕獲」の意義は問題とされていて,下級審でも意見が分かれている。
・条文をすなおに読むと未遂まで「捕獲」の範囲に入れるのは不自然。
・だけど,他の条文には,未遂も捕獲に含めないと不合理で,
 本法の立法趣旨,目的にそぐわなくなる条文がある。
・捕獲行為じたいの法益侵害の危険性(危ないから禁止しよう)を考えると,
 捕獲しようとしたこと(未遂形態)自体が禁止行為。
・でもこの考え方は「弓矢を使用する猟」に限定してほしい。
・他の猟も未遂形態を処罰したかったら,法律を改正してね。


ぼくの個人的な意見とすれば,
もやもやするから,改正法で,
弓矢猟に関して「未遂は処罰する」といれてほしい。

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